尋常性乾癬(Plaque Psoriasis)

尋常性乾癬は、慢性的な炎症性皮膚疾患で、皮膚に赤く盛り上がった鱗屑(フケのようなもの)を伴う病変が現れます。

原因

正確な原因は未解明ですが、主に免疫系の異常と遺伝的要因が関係しています。

主な原因・誘因

  • 免疫異常:T細胞の活性化により皮膚細胞の増殖が異常に早まる
  • 遺伝的素因:家族歴があると発症リスクが上昇
  • 環境要因:ストレス、感染症、皮膚外傷、喫煙、飲酒など
  • 薬剤誘発:β遮断薬、リチウム、抗マラリア薬、NSAIDsなど

最新の治療方法(2025年時点)

治療は重症度や患者の生活スタイルに応じて選択されます。

① 外用療法(軽度〜中等度)

  • ビタミンD3誘導体(カルシポトリオールなど)
  • ステロイド外用薬
  • タクロリムス / ピメクロリムス(顔・皮膚の薄い部位)
  • 保湿剤(バリア機能改善)

② 光線療法(中等度〜重度)

  • ナローバンドUVB(NB-UVB)
  • エキシマライト(308nm)
  • PUVA療法(ソラレン+長波長紫外線)

③ 全身療法(重度)

  • メトトレキサート(免疫抑制剤)
  • シクロスポリン
  • アプレミラスト(PDE4阻害剤)

④ 生物学的製剤(バイオ製剤)

中等度〜重度の患者に使用される注射薬で、効果が高いですが副作用にも注意が必要です。

薬剤名 標的 特徴
ウステキヌマブ IL-12 / IL-23 長期投与で効果持続
セクキヌマブ IL-17A 効果発現が早い
イキセキズマブ IL-17A 皮膚への効果が高い
グセルクマブ IL-23p19 高い皮膚改善率
リサンキズマブ IL-23p19 長期効果が持続
ブロダルマブ(国内) IL-17受容体A 反応の早さが特徴

補足:治療選択のポイント

  • 軽度〜中等度:外用療法+光線療法
  • 中等度〜重度:生物学的製剤または全身療法
  • 合併症(関節症性乾癬)あり:IL-17またはIL-23阻害薬が有効