掌蹠膿疱症(Palmoplantar Pustulosis)
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう、Palmoplantar Pustulosis)は、手のひらや足の裏に無菌性の膿疱(うみのたまった水疱)が繰り返しできる慢性炎症性皮膚疾患です。痒みや痛みを伴い、日常生活に支障をきたすこともあります。
原因
正確な原因は未解明ですが、複合的な要因が関与しています。
主な原因・関連因子
- 喫煙:患者の70〜80%が喫煙歴あり。
- 扁桃炎・歯科感染:慢性炎症が関与。扁桃摘出で改善例も。
- 金属アレルギー:歯科金属が悪化因子となることも。
- ストレス・疲労:自律神経や免疫変調を招く。
- 自己免疫異常:乾癬との関連も一部で示唆。
- 副鼻腔炎・中耳炎:他の慢性炎症部位も関連。
診断
- 視診で膿疱の分布と形状を確認
- 真菌検査(白癬との鑑別)
- アレルギー検査(パッチテスト)
- X線検査(関節炎や胸肋鎖関節炎の合併確認)
最新の治療方法(2025年時点)
1. 外用薬
- ステロイド外用薬
- 活性型ビタミンD3外用薬
- 保湿剤
2. 内服薬
- シクロスポリン
- アプレミラスト(オテズラ)
- 抗生物質(慢性炎症に対して)
3. 生物学的製剤(バイオ製剤)
重症例ではバイオ製剤が使用されます。
製剤名 | ターゲット | 特徴 |
---|---|---|
セクキヌマブ(コセンティクス) | IL-17A阻害 | 乾癬型に類似する病態に有効 |
スペボリマブ(SPEVIGO) | IL-36阻害 | 2024年に国内承認された最新薬 |
ウステキヌマブ(ステラーラ) | IL-12/23阻害 | 乾癬や掌蹠膿疱症に適応 |
注意:バイオ製剤は副作用や費用面で医師との相談が必要です。
原因除去療法
- 扁桃腺摘出術(扁桃炎が原因の場合)
- 歯科金属除去(金属アレルギーの特定後)
- 禁煙:もっとも効果的な生活改善
補助療法・生活指導
- 禁煙
- ストレスケア(睡眠、運動、カウンセリング)
- ビオチン(ビタミンH)補充療法(効果は限定的)
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
原因 | 喫煙、扁桃炎、金属アレルギー、ストレスなど |
主な治療 | 外用薬、内服薬、バイオ製剤 |
最新薬 | スペボリマブ(IL-36阻害薬) |
生活改善 | 禁煙、原因除去、ストレス管理 |